愛の楔



俺はそれに気づかないふりをして、抱きついている美空の腰に手を回すと、家の中に向かって歩き出す。


「2日間すまなかったな」

「お仕事だったんでしょ?仕方ないよ」


そう笑う美空に、寂しいと思ってはくれなかったのかとこちらが寂しいと感じてしまう。
美空は、前を向きながらこの2日間自分がなにをしていたのかを教えてくれた。


暇だったから賢と屋敷を探検したとか、色んな奴らと仲良くなったとか。


「このお家本当に広いね、びっくりした」

「親父が作ったからな」

「組長さんが?凄い」


親しみを込めての組長さん。
親父とも交流があったのか。


この2日間で美空を取り巻く環境がかなり変わっているのではないだろうか。


明らかに、慣れている。


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