愛の楔
確かに、美空の料理は旨かった。
俺は、チラッと美空を盗み見る。
俺の部下達は、厳つい奴らばかりだ。そんな野郎共に囲まれながら、楽しそうに笑っている美空。
………順応早いな。
「お嬢は凄いですね」
いつの間にか俺の隣に移動してきた賢が眩しそうに美空を見ながら口を開く。
「最初、あいつ等余所者だからって関わろうとしなかったんです」
………だろうな。いくら俺が言っても奴らが認めなきゃ意味がない。
「若もいない、一人っきりの部屋で、お嬢いきなり立ち上がったんですよ」
―――龍さんがここに私を置いてくれるんだから、迷惑かけちゃだめだよね!
「それから部屋を飛び出して、掃除はするわ、洗濯をするわ………」
賢の言葉に俺は笑みを浮かべる。
なんだか、美空らしい。