愛の楔
「結果、あれな」
「はい………若」
「あぁ」
「俺、お嬢になら仕えてもいいって思いました」
賢を見ると、その目には敬愛の意が美空に向けられていた。
俺は、口端を軽く上げてから、酒を飲み干す。
美空には、不思議な力があると思う。
それは、初めて会った時から思っていたことで。
「………そうだな」
「ですから、しっかり捕まえてくださいよ?」
まだ、一方的みたいですから。
ニヤリと意地悪い笑みを浮かべる賢に、ニヤリと同じような笑みを返して、分かってると答えてやった。
言われなくても、一度捕まえたんだ。
二度と離さないさ。