愛の楔
4. 仕事
夕飯も終わり、風呂にも入り、一段落した後俺は自室で書類とにらみ合いをしていた。
「ふぃ~いいお湯だったよ~」
頭をタオルでガシガシとしながら美空がパジャマ姿で入ってくる。
俺は、書類から目を離して美空を見て、溜め息をつく。
「ちゃんと乾かしてこい」
「自然乾燥ー」
「風邪引く」
「……はい」
眼圧を与えれば美空は渋々また部屋から出て行く。
俺はやれやれと書類に目を戻した。何だか手の掛かる妹の世話をする兄みたいじゃないか。
数分後、ちゃんと髪を乾かしてきた美空が戻ってきた。
「龍さん」
「何だ」
「龍さんは、どんな仕事をしているのー?」
俺の正面に座り、のぞき込んでくる美空。