愛の楔
「美空さんは学校に通うべきです」
「……だよな」
はぁ、と溜め息を一つ。
本当は、家にいてほしい。
誰の目にも映させたくない。
………なんて狭い心だろうか。
「美空さんの仕事ですから」
「………だが」
「……心配なら護衛つければいいことです」
世話のかかる主だと炯はまたため息。
そんなことを言われても心配だ。
俺の目の届かないところで何されるかわからない。
「………そうか、その手だ」
しかし、炯の言葉に俺は気づく。
護衛、という言葉を忘れていた。
護衛=家の中だと思っていたから。
「………若」
「護衛をつければ安心か」
少しは、そうしよう。
「完璧にみえてこういう所は駄目ですよね」