愛の楔
「わかりました―――ですが」
「………なんだ」
「優斗はまだしも、俺に護衛が勤まりますか?」
和也は不安そうに眉を下げる。
優斗は、見た目は本当に高校生にしか見えない。二重だからか怖く見えないのだ。身長も高くはないからヤクザとしてはイマイチだが、巧く使える奴。
対する和也は見た目は高校生に見えなくはないが切れ長の目に巨体。醸し出す雰囲気もこちらのもの。
「制服着れば問題ないだろ」
幾ら怖くても制服着ていればちょっと目付きの悪い高校生にしか見えないだろう、きっと。
「若がおっしゃるなら……」
「お嬢には?」
「まだだが、お前らは準備をしとけ」
そう言うと二人は、はいっと返事をして頭を下げてから立ち上がる。