愛の楔



ありがとう、と笑みを向けてくる美空を思わず抱き締めていた。


「っわぁ?!」

「………ありがとう」

「?どしたの」

「否………なんでもない。」


何それとクスクスと笑う美空を俺はずっと抱き締めていた。


美空は嫌がることなくされるまま俺の腕の中にいてくれた。


「………龍さん」

「何だ」

「龍さんは暖かいね」

「………お前こそ、」


子供みたいに高いな、と冗談混じりに言うと、美空は酷いっと俺の背中を叩いた。


「痛いじゃないか」

「知らないもん」

「………ガキ」

「何か言った?」


にっこりと笑みを向けてくるが目が笑っていない。
美空をからかうの面白いな。


< 78 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop