愛の楔
「龍さんは?」
「まだ、仕事が残ってる」
肩を竦めてやると、美空は、無理しないでね、と眉を下げる。
俺は美空の頭を一撫でしてから部屋を後にした。
竜の間は、俺が仕事場にしている部屋だった。寝室からはかなり離れた所にあって、中には入れるのは数えるくらい。
竜の間にはその数えるくらいの中にはいっている炯が待っていた。
妙に顔つきが険しいものにみえるのは俺だけだろうか。
「………どうした、」
炯の向かい側に腰を下ろす。
炯は無言で一枚の紙と写真を畳の上に置いて俺の前まで滑らせた。
「これを」
すっと自然と目がそちらに向く。