愛の楔
最後は、低い声で釘を差す。
澪は、殺したらダメなの?とつまらなさそうな顔。
「守れないならこの話は無しだ」
「わかったよー」
仕方ない、他で楽しもう、と澪は渋々頷いた。
「お前くらいだ、そんなに人を殺したがるのは」
はぁ、と溜め息をつくと澪はニヤリと笑う。
「楽しいじゃん、人を斬るのは」
手に伝わる肉の感触、血の温かさ、そして耳にこびりつくような脱閻魔。
何もかもが快楽に変わる。
「恐ろしいな」
「棒読みだね、若。でもそんなだれそれ殺してる訳じゃないし?」
若に害をなす奴だけだよ?
「……そうだな」
「若だけだもん。俺を見てくれたのは」
にっこりと俺に向けられるのは信頼以上のもの。
きっと、こいつは俺のためになら死ねる、とか言うだろうな。