愛の楔
それほどに、澪の忠誠心は強い。
こんな態度だがな。
「だから、若に害をなすなら女の子も対象に入るからね?」
黒い笑みを浮かべる澪のその目は冗談ではないと語る。
つまり、納得していないんだな。
「お前が認めなくても美空は俺には必要不可欠な存在だ」
「うん。だから、確かめるんだよ」
若に害をなさないか、否か。
護衛という形で。
勿論顔は合わせないよ?知られたら困るし。
「分かった」
「ありがとう、若」
「………ちゃんと守れよ?」
「どっちを?」
「……どっちもだ」
澪は、了解ーと笑みを浮かべると、一礼して、一瞬で姿を消した。
瞬き一つで消えた澪は、毎度のことなのでなれたが、相変わらずの身体能力の高さだ。
忍者の先祖でもいるのだろうか。
しかしとりあえず今は、溜まった仕事を片付けた方が良いなと書類を手にしたのだった。