【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
それから5分、10分・・・・。
当たり前だけど、ヤケクソだけじゃ寒さはしのげなかった。
「うぅ〜っ、寒ぃ〜」
ガクガク、ブルブル。
冬は日が落ちるのも早く、すでに辺りは真っ暗。
それに加えてチラチラ雪まで降ってきて、寒さに拍車がかかる。
あったかいお茶でも買いたいけど財布の中はすっからかん。
コートもマフラーも手袋も・・・・そんな気の効いた防寒グッズなんて持っていない。
サイアクだ。
こんなんだったら、やせ我慢なんかしないで母ちゃんの言う通りにすればよかった。
ピンクのマフラー、持たせてくれようとしたんだよな。・・・・嫌だ!って突っぱねちゃったけど。
そんなことを思いながら、少しでも体を温めようと小刻みに足踏みをしていると───・・。
ザクッ。ザクッ。
雪を踏みしめ、誰かがバス停に向かってくる足音が聞こえてきた。
「・・・・やっぱりハチだ」
「先輩っ!?」
その声は亜希先輩で、声のするほうを見てもやっぱり亜希先輩で。
えっ、どういうこと・・・・?