【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
「ちょっとハチが心配になって。バスに乗り遅れてたら私たちのせいかなぁって思ってさ」
そう言った先輩は、ごめんね、と小さく頭を下げた。
わざわざそのために?
そんなの俺が悪いんじゃん・・・・。
話聞いちゃったのも、乗り遅れたのも、全部俺が悪いんじゃん。
「なんかすんません。いろいろと心配かけちゃったみたいで・・・・。大丈夫っスよ、俺」
「何言ってんの。手も鼻も、耳まで真っ赤にしちゃってさ」
「あ、いや・・・・」
「あったかいの買ってきたから一緒に飲も? 今日のおわび」
ね? と優しく見下ろされると、ちょっと・・・・いや、だいぶ弱い。
素直に頷いてしまう俺がいる。
先輩は徒歩通学で、帰る方向もこのバス停と逆の方向だ。
それなのに心配して様子を見に来てくれるなんて・・・・。
晴奈先輩よりも190cmよりも俺を優先してくれたんだと思うと、嬉しくてたまらなかった。
ベンチに積もりはじめた雪を払って、先輩と並んで座る。
「はい」と手渡されたのは、先輩と同じミルクティーだった。