【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
自分を鼓舞しながら言った精一杯の告白と一緒に、不器用なりに精一杯作った手作りのチョコを伸吾君の前に出した。
バクバク、バクバク。
言えたという安堵感と、もう後戻りできないという不安感と。
私の心臓は、伸吾君にも聞こえちゃうんじゃないかってほど、うるさく鼓動を刻んでいた。
「・・・・」
「・・・・」
すぐに返事はなく、チョコをもらってくれる気配もなく・・・・。
2人とも、しばらく無言。
気が遠くなりそうな時間だった。
それを破ったのは伸吾君のほう。
「河原、あのさ。・・・・今のとそのチョコ、本気だったりする?」
「・・・・へっ?」
「いや、だから、俺を好きだってのは本気なのかって聞いてんの」
え? なんで?
私、ちゃんと告白したよね?
「うん。本気・・・・だけど」
そう疑問に思いながらも、もう一度真剣だということを告げると。
伸吾君は、心底困り果てた様子で乱暴に髪の毛をクシャッとした。
「・・・・悪いんだけど、そのチョコはもらえない。ごめん」