【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
 
嫌な予感って、どうしてこうも的中率が高いんだろう。

伸吾君の最初の一言でなんとなく想像はできたけど、でも・・・・。

チョコさえも受け取ってもらえないとは思いもよらなかった。


「・・・・なんで? 私のこと嫌い? つき合ってる子とかいるの?」


気がつけば、私は引っ込みがつかなくなったチョコを握りしめながら聞いていた。

聞いたところで教えてもらえるとは限らないけど、納得がいく答えが欲しかったのかもしれない。


「嫌いなんかじゃないよ。つき合ってる人もいない。ただ・・・・」

「ただ?」

「好きなヤツはいる」


今年も義理だけどな。

そう言った伸吾君は、学ランのズボンから小さな箱を取り出して見せてくれた。


「義理でもなんでも、そいつからのチョコしかもらわないって決めてんだ。河原だけじゃなく、ほかの子からも」

「・・・・そう」


伸吾君、モテるもんね。

私のだけ特別受け取らないんじゃないってことが分かっただけでも聞いてみる価値はあった、かな。


「マジごめん。ありがとな」
 

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