【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
たちまち教室は下品な笑い声に包まれ、その中に私は確かに伸吾君の笑い声を聞いた。
かわいい? 優しい? そんなの嘘ばっかりじゃない。
伸吾君がかわいそう? だからって身長は縮まらないよ。
「っ・・・・」
私は、その場で泣かないようにするので精一杯だった。
怒りとか悲しみとか、いろんな感情がごちゃごちゃになって一気に押し寄せてきたけど、守りたかったちっぽけなプライド。
どんなに辛くても人前じゃ絶対に泣かない・・・・それだけはどうしても守りたかったんだ。
私がそうして耐えている間にも伸吾君たちの会話は続き───・・。
「実は俺さ、河原をフッたときに嘘ついちゃったんだ」
武勇伝でも語るかのような口調で伸吾君が口を開けば。
「なになに!?」
「伸吾、どーゆーこと!?」
周りの男の子たちも食い付く。
これって、ガールズトークならぬボーイズトーク・・・・ってところなのかもしれない。
女の子たちには知られない男の子たちだけの秘密の話・・・・そんな特別な雰囲気がそこにはあった。