【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
「好きなヤツがいる、って言ったんだ。本当はそんなヤツいないんだけど、まぁそれが一番手っ取り早く諦めてもらえるかな〜って。てか俺、カッコよくね?」
「おぉ!傷つけずにフル方法か!さっすが伸吾、男だね〜」
「俺が伸吾だったら正直にに言ってたよ、デカくてつき合えませんって。伸吾は違うな〜」
周りの賛同に“だろ?”と自慢気に微笑む伸吾君。
思いもよらないところで知ることになった彼の本音は、私の失恋したての心の傷を必要以上にえぐる結果になった。
デカい女は対象外・・・・早い話が、そういうこと。
そうだったのかって納得したときには、私はもうこぼれる涙を我慢できなくなっていた。
楽しそうに笑い合う声を聞きながら、そっと家に帰って泣いた。
それ以来、私は自分より背の低い人を好きにならないように・・・・。
自分より背の低い人が私を好きになったりしないように・・・・。
───『好きな男の子のタイプは私より背の高い人』
周りにはそう言ってきたし、自分にもきつく言い聞かせてきた。