【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
●不意討ちだよね
今年のバレンタインは日曜日だ。
バスケ部の練習はほとんど休みがないため、俺は今日も学校に行くときと同じ時間に起きなきゃならなかった。
・・・・んだけど。
「大、起きなくていいの? 今日も部活なんでしょ?」
「んあ〜・・・・やっべ!」
「ほら見なさい。毎晩何してるか知らないけど、夜更かしばっかりするからよ。部活くらい勉強も真面目にやってもらいたいものね」
「母ちゃんっ、朝から小言は勘弁してくれよ!悪かったって」
と、まぁ。
時間になっても起きない俺の様子を見に来た母ちゃんに起こされ、ありがたい小言まで頂き・・・・。
「いってきます!」
「はいはい。気をつけて」
10分で家を出た。
最寄りのバス停まで走っていくとちょうどバスが来たところ。
上がった息を落ち着かせながら、一番後ろのど真ん中の席にスポーツバッグと並んで座った。
平日は通勤・通学でぎゅうぎゅう詰めになる車内も、週末はがらんと空いている。
この週末の2日間だけ、今座っている席が俺の指定席になるんだ。