【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
なんだ、なかなかやるじゃねーかと、向こうが先輩なのに上から目線で思った俺。
ホント、ヒーローのくせに情けないったらない。・・・・自分の卑屈さ加減にホトホト呆れる。
先輩に気を遣わせちゃうし、聞きたいことも聞けないし。
「はぁ・・・・」
思わずため息がもれた。
本当は、好きなヤツが囲まれてて嫌じゃないですか? とか。
先輩はやっぱり190cmにチョコあげるんですか? とか・・・・そういうことを聞きたい。
いくらヒーローの仮面を被ってみても、実際の中身はこんなんだ。
先輩の笑顔を望んでおきながら、それが俺に向けられるものだったらいいのに・・・・と思ってしまう。
「ハチ? どうかした?」
「あ、いえ、なんでもないっス」
「・・・・そう」
先にモップをかけ終わった先輩がまだの俺を心配してくれる。
けれど、きっと情けない顔をしているはずの俺は、また先輩の顔を見ることができなかった。