【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
でも結局、俺を励ましてくれたときの熱い北村を思い出して、言う義理はあるよなと思い直した。
「俺は約束を守る男だゼ!」
「そうか、なら言うけど・・・・」
「お、おう」
ちょいちょい、と北村をこっちに招いて、内緒話の体勢をとる。
この雰囲気から何か感じ取ったのか、いつもは普通のときでもデカい声をひそめる北村。
俺は、小さく深呼吸をしてから意を決して口を開いた。
「・・・・告白、された」
「告白!?」
「そうなんだよ。でもさ、どうもおかしいんだ。先輩は男バスのヤツが好きなはずで、それをたまたま聞いたこともあったのに」
「はあ・・・・」
「それなのに“俺”っておかしいだろ? 先輩、相手間違えて告白したんじゃないかって思ったり。・・・・よく分かんねーんだ」
そこまで言うと、北村は窮屈そうにかがめていた背中を伸ばした。
そして、探偵さながらのポーズをとって頷きながら、その場をグルグル回りはじめる。
・・・・なんだコイツ。気持ち悪っ。
「・・・・」
言葉も出ないゼ。