【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
「・・・・もう1回ちゃんと言うから聞いてくれる? 山田大君」
山田大って・・・・。
嬉しい気持ちと、そのぶん本気なのが分かって、俺の背筋は緊張のあまりピーンと伸びる。
それを合図に先輩は話しだす。
「確かにハチに聞かれるまでは、チョコを渡そうって思ってたの。でも、そのあとからハチはヒーローになっちゃうし、好きって言ってくれなくなっちゃうし」
「いや、あれは・・・・。ホントすみません。俺なりの努力でした」
「いいのいいの、嬉しかったし。あんな失恋話したあとだからさ、私のこと考えてくれてるんだなぁって分かったから」
「そうっスか・・・・」
「うん」
てか、もうハチに戻っている。
そこがちょっとばかり悲しいけど・・・・でも、久しぶりに名前で呼んでもらえただけで幸せだ。
「それでね、ハチがちょっと離れていって、なんかこう・・・・胸がモヤモヤしだしたの」
「モヤモヤ、ですか」
「そう。それで、なんだろう? って思ってるうちにバレンタインが近づいて。気づいたらハチのぶんのチョコも作ってて」