【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
「2つで870円です」
「はい」
財布に残り少なくなった千円札とクレープ2つを交換する。
先輩は少し離れたところでニコニコ笑って見ていて・・・・というか、クレープに釘づけで。
お釣りを受け取った俺は、落とさないよう気をつけながら先輩が待つほうへ歩いていった。
「ありがと〜、ハチ!デートでクレープ食べるの、ひそかに憧れてたんだよね〜」
「そっか。よかった」
「うんっ!」
・・・・さっきも似たような台詞を聞いたけど、ここはスルーだ。
『デートでホットドッグ!なんかのドラマで見て、ずっとやってみたかったんだよね!』って。
これで5軒目だけど、3回はこんなことを言っている先輩。
まぁ、かわいいから全然OKなんだけど。余裕で許せちゃうけど。
それにしても、なんで先輩はこんなにもかわいいんだろうか・・・・。
この満面の笑みを見ていると、それだけでお腹いっぱいになる。
「あれ? ハチは食べないの?」
「ううん、食う!」
でも、食うけど。