【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
対する俺の“ハチ”は、北村につけられた・・・・わけではなくて。
愛しの亜希先輩がつけてくれた、由緒正しいあだ名だ。
それまでは、北村に「ミジンコ」とか「ミクロマン」とか、そんな感じで呼ばれていたけど。
亜希先輩がつけてくれたあだ名だから“ハチ”でもちっとも嫌な気はせず、むしろ嬉しかった。
それをコイツは・・・・!!
「ハチって呼んでいいのは亜希先輩だけだ!お前が呼ぶな!」
「忠犬ハチ公・・・・ぷぷっ」
「バカにすんなよ!? ハチ公はすげー犬だ!俺は光栄なんだ!」
「ギャハハッ!ちょーウケる!」
くっそぉ〜!
ちょっと人よりデカいからってチビをバカにしやがって!!
「もういい!部活行くっ!」
いつまでも笑い転げる北村に心底呆れた俺は、ドスドスと教室をあとにし、体育館へ向かった。
本来なら北村に割いてやれる時間なんて1秒もないんだ。
あー、もったいない。
・・・・とか思っておきながら、つい絡んでしまう俺も俺だけど。
でも今は、とにかく亜希先輩だ!!