【バレンタイン短編-2010-】君の第2チョコ。
亜希先輩と一番仲のいい晴奈先輩が、タオルで汗を拭きながら俺の顔を覗き込んできた。
晴奈先輩も、亜希先輩ほどじゃないけど背が高く、170cmはある。
ウチの女バスは県内でもトップレベルで、長身の選手が大勢。
そんな中でひときわチビな俺は、見上げることはあっても見下ろすことは一度たりともない。
「も〜っ。亜希は自分より背の高い人がタイプなの。大ちゃんじゃダメでしょ?」
「ダメですけど、好きでいるくらい俺の自由じゃないっスか!」
「そうだけど・・・・。亜希ー?」
俺と話している間にシュート練習を始めた亜希先輩を追いかける晴奈先輩。
こういうのも日常だ。
俺だって、亜希先輩が背の高い男がタイプなのは知っている。
亜希先輩を見つめる9ヶ月で、先輩は男バスの190cmに恋していることも知っている。
つい先日、休憩中に晴奈先輩とバレンタインの話で盛り上がっていたのも丸聞こえだった。
でもっ!!
俺は諦めない。
何度告白をはぐらかされようと、チビだろうと、ハートだけは誰よりもでっかいから!!