薔薇とアリスと2人の王子
「色ボケ男って、僕のこと?」
「あんた以外誰がいるのよ。素敵なネーミングね、これからはそう呼んであげるわ」

 女性を見ると、ツンとよそを向いている。見かけによらず随分と気の強い人だとアリスは思った。

「私たち“ローライド”っていう魔女を探してるの。知らない?」
「……魔女なら知ってる」

 こちらを向かないまま女性が言った。時たま海から潮風が吹いて、女性の肩までのストレートヘアを揺らしている。
 女性の答えに思わず身を乗り出してアリスが問いだした。

「魔女? どこにいるの?」
「……海の中」
「え?」


 ついアリスは聞き返したよ。だって、海の中にいる魔女なんて聞いたことないもの!
 いつまで経っても視線を合わせようとしない女性に、イヴァンが少々の怒りの色をなした。

「この女が素潜り出来るとは思えないがな」
「兄さん、冗談でしょうけどハズしてます」

 と、呆れた口調は弟のカールだ。

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