薔薇とアリスと2人の王子

 ゾフィーは来た時のようにエルザとルートヴィヒの2人を抱えて海に戻る。
 アリス達の方を振り返ると、ばっちりウインクを決めてイヴァンに投げキッスを送ってる。

「また逢いましょ、貴族のお兄さん。魔女っ子ゾフィーはいつでも海の近くにいるから~」
「待って! ゾフィーさん、聞き忘れるところだったわ。ローライドって魔女知らない?」

 アリスの質問にゾフィーは唇に指をあてて考え込んだ。
 口を開いたのはしばらくしてだ。

「う~ん、知らないわん。今って魔女狩りがずいぶん進んでるでしょお? 魔女の存在自体あまり聞かないのよねぇ」
「そう……ありがとう」
「あ。でも~、その名前なんだか変ね。ローライドって人名じゃないじゃない~?」

 確かに言われてみればそうだと思った。今まであまり気にしてなかったんでね。
 ゾフィーは続ける。

「何か意味のある偽名かもよん。偽名なら正体を隠している可能性が高いわねん」
「そうね。参考にするわ、ありがとうゾフィーさん」

 ゾフィーに別れを告げると、3人は今夜の宿を探すために砂浜を歩き出した。もうすっかり夜も更けているよ。
 一方ゾフィーはエルザ達を抱えて海に潜ってゆく。
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