薔薇とアリスと2人の王子


 遠くのほうで鷹の飛ぶ音が聞こえたかと思うと、今度は近くの木からフクロウの鳴き声だ。
 今アリス達が進んでいるところは、荒れた畑が広がる街のはずれでさ。
 民家はないし、外灯はないしで怖いのなんの!

「もう疲れたわ、早く領主さんの屋敷に着きたい」

 アリスの独り言にカールが答えてやった。

「嬉しいったらないね。ほら、50ヤード先ほどに明かりが見えているよ」
「嫌な予感がするな」

 と、ぽつりとイヴァン。
 嫌な予感は毎度のことだけどさ。

 アリス達は明かりを目指して歩みを早めていった。
 領主の屋敷に近付いてきてるっていうのに辺りは更に荒れ果ててきて、領主がまともな人間じゃないことだけは、確かだったんだ。


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