薔薇とアリスと2人の王子
翌日、空は少し陰りが見えていたけれど快晴だった。
アリス達は埃まみれの屋敷を発つべく、玄関にいてね。
クララとベルホルトが見送りに来ていたよ。
ずっと野獣の姿のベルホルトと一緒にいたせいか、青年姿の彼に妙な違和感を感じる。
「2人はこの後どうするの?」
「結婚したら、私の城に住む。この屋敷は野獣になった私が隠れるべく、領主として身を偽り住んでいただけだからな」
それを聞いてアリスはほっとした。2人は幸せになれそうだったからね。
街の婦人の話だとマエストーソの国の王族は評判悪いみたいだけど、それは王子不在による混乱があったからなんだ。
これでこの国も一安心ね、と素直に安堵するアリス。
続いてクララだ。
「3人方、いろいろありがとう。私、大切なことを学びました」
「いいえ。クララさん、お幸せにね!」
「はい。あの……イヴァンさん、腕、本当にごめんなさい。どうかお大事に」
笑顔で別れを告げたあと、3人は元来た荒れ地を歩いいて街に戻った。
次に目指すは隣の国・ドロローソだ。