薔薇とアリスと2人の王子
 入った森は小規模なものだったけど、木が所狭しと並んでいてね。
 歩くのにも一苦労さ。

「つ、疲れたわ……。大人しく宿を探して早く休めばよかった」

 アリスが先頭を歩きながらそう溢した。
 足元はうっそうと茂る草で、歩きにくいことなんの。

「とんでもない事にしてくれたな。 全く! 髪が枝に絡まって一大事だぞ」

と、最後尾をゆくイヴァン。
 彼の長い赤毛はしょっちゅう枝に絡まっていたんだ。

「兄さん、何事も女性のせいにするのはいけませんね」

「うるさいっ。言っておくがお前の髪も大変なことになっているぞ」

「2人共そんなウザったい髪してるからよ!」

 そんな事をわめきながら歩いていたらさ。幸いまだ陽はあったんで、森の終わりが見えてきたんだ。
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