薔薇とアリスと2人の王子
 アリスはやっとこさ窓に手をかけられるまでに到着してね。

「よっ…と!」

 単身の力で窓に登った。そこで見えてきたのは、暗く狭い部屋だった。

 ベッドやテーブルが置かれていて、まだ古くなく、使っていそうなものでさ。そう思った時、ふと部屋の中に人影が見えた。

「あ、あの……?」

 狭い部屋と言ったって、暗いんでよく見えない。
 分かったのは人影がベッドの隣に立っていて、こちらに背を向けてるってこと。


 人影は、アリスの声に反応してクルリと振り向いた。――その時だよ!


「……っ、きゃあああああああ! さ、貞子っ……」

 アリスは“何か”を目撃して、それはそれは凄い叫び声をあげると、ハシゴを落ちるように降りていった。
 下にいた兄弟はそりゃあびっくりしてたさ。

「ゆっ、幽霊! 幽霊がいたわ! ささ、貞子!」

「幽霊?」

 イヴァンとカールが揃ってそう言った。
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