薔薇とアリスと2人の王子
「魔女のお婆さん、クリストが浮気してたの。ラプンツェル、どうするつもりなのかしら?」

 アリスが心配そうに言ったけど、相変わらず老婆は終始笑顔でね。

「心配いらんよ。あんたらが変えてくれたんじゃろう? ラプンツェルを」

 老婆は染み渡るように穏やかな声で続けた。

「あの二人は弱かった。ラプンツェルだけでなく――クリストもじゃ。弱いゆえに、二人は心が通じなかった。男は心移りをし、女は引き籠るようになった。 しかし――ラプンツェルをお嬢ちゃん達が変えてくれた。」

 兄弟もこの時はだんまりして、老婆の話に耳を傾けていたよ。

「次はクリストが変わる番じゃ。女が変わった事により……男も変わる。恋人とはそういうものじゃ。大丈夫、二人は結ばれる」


 アリスは頷いた。老婆にそう言われると、正しい気がしたんでね。
 クリストが変わってくれる事を願おうと思ったんだ。

「アリス、二人は大丈夫みたいだし、僕らも行こう。日が落ちないうちに」

 久しぶりにカールが口を開いた。
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