薔薇とアリスと2人の王子
さあ困ったよ。ロサ・アンジェラが馬車に乗っかったまま行っちゃった。
薔薇がないまま、兄弟が帰ってきたらどうだろう。かんかんに怒るだろうね! アリスは持ち前の度胸はどこへやら。すっかり意気消沈だ。
「ロサ・アンジェラを取り戻さなきゃ……」
そう呟くと、兄弟の上着をパッと隣の農夫に押しつける。
「赤と黒のロン毛の偉そうな若い男2人が来たら、この上着を返しておいて。私の行方を聞いたらごまかしておいてね。それと……さっきの馬車、ドナウアー家の屋敷はどこ?」
農夫は目を真ん丸にひんむいたよ。
「お嬢ちゃん、まさかドナウアー家の城に行くつもりかい?」
「そうよ。」
「やめときな! あの城の主人は何度も若い娘を嫁に迎えてるが――誰も戻ってきていないんだ。この辺りじゃあ“人殺し城”って呼ばれてんだ」
そんなこと言われたって、アリスは行くしかないさ。
恐ろしい城に行くよりも、あの馬鹿兄弟に怒鳴られるほうが屈辱的で嫌だもの。
薔薇がないまま、兄弟が帰ってきたらどうだろう。かんかんに怒るだろうね! アリスは持ち前の度胸はどこへやら。すっかり意気消沈だ。
「ロサ・アンジェラを取り戻さなきゃ……」
そう呟くと、兄弟の上着をパッと隣の農夫に押しつける。
「赤と黒のロン毛の偉そうな若い男2人が来たら、この上着を返しておいて。私の行方を聞いたらごまかしておいてね。それと……さっきの馬車、ドナウアー家の屋敷はどこ?」
農夫は目を真ん丸にひんむいたよ。
「お嬢ちゃん、まさかドナウアー家の城に行くつもりかい?」
「そうよ。」
「やめときな! あの城の主人は何度も若い娘を嫁に迎えてるが――誰も戻ってきていないんだ。この辺りじゃあ“人殺し城”って呼ばれてんだ」
そんなこと言われたって、アリスは行くしかないさ。
恐ろしい城に行くよりも、あの馬鹿兄弟に怒鳴られるほうが屈辱的で嫌だもの。