薔薇とアリスと2人の王子
(荷物と一緒に城の中に持って行かれちゃったんだわ……)
あれこれ考える間もなく、アリスは城内への扉まで駆けていった。この先にロサ・アンジェラがあるんだ。城へ侵入するしかないみたい。
(見張りが一人もいない……雇ってないのかしら)
夕焼けに包まれた見事な庭をグルリと見渡してアリスは思った。
(この様子だと、ドナウアー夫妻しか城にはいないみたいね。正面から侵入しちゃおう)
そう前向きに考えたアリスは、静かに玄関の扉を開けたんだ。
扉の向こうには大ホールが広がっていた。舞踏会の会場のようで、アリスは目的も忘れて美しい装飾の数々に見惚れてしまったよ。
人殺し城なんて呼ばれているとは思えない城内だ。でも外と同じく門番の一人もいない。やっぱりおかしい。
「イディ。いつもの鍵を。君はもう部屋に入りたまえ」
「はい、あなた」
そういった会話が玄関につっ立っているアリスの耳に聞こえてきてさ。
どうやら二階からのドナウアー夫妻の声だ。
(“いつもの鍵”……?)
間もなく二階から部屋の扉が閉まる音がし、続いて廊下を歩く足音が聞こえてきた。
あれこれ考える間もなく、アリスは城内への扉まで駆けていった。この先にロサ・アンジェラがあるんだ。城へ侵入するしかないみたい。
(見張りが一人もいない……雇ってないのかしら)
夕焼けに包まれた見事な庭をグルリと見渡してアリスは思った。
(この様子だと、ドナウアー夫妻しか城にはいないみたいね。正面から侵入しちゃおう)
そう前向きに考えたアリスは、静かに玄関の扉を開けたんだ。
扉の向こうには大ホールが広がっていた。舞踏会の会場のようで、アリスは目的も忘れて美しい装飾の数々に見惚れてしまったよ。
人殺し城なんて呼ばれているとは思えない城内だ。でも外と同じく門番の一人もいない。やっぱりおかしい。
「イディ。いつもの鍵を。君はもう部屋に入りたまえ」
「はい、あなた」
そういった会話が玄関につっ立っているアリスの耳に聞こえてきてさ。
どうやら二階からのドナウアー夫妻の声だ。
(“いつもの鍵”……?)
間もなく二階から部屋の扉が閉まる音がし、続いて廊下を歩く足音が聞こえてきた。