薔薇とアリスと2人の王子

 青ざめるイヴァンの前に立ちはだかるようにアリスが身を乗り出す。

「王子はドリューさんに用事があるのよ! あなたは関係ないわ」

 このアリスの一言で姉さんはしぶしぶ退散し、3人は屋敷に迎えられた。

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 そのままアリス達は屋敷の客間に通された。
 豪華な部屋でね。家具にはぜんぶ同じ装飾が成され、きらきらと日の光に反射していた。アリスはこんな部屋はじめてだよ。

「アリス、ずいぶんと苛ついているね」

 カールが言った。

「あの女、王子目当てだったわ! 白々しい」

 後を付いて来たドリューが3人に椅子をすすめ、自分も腰かけた。まだドリューは突然やって来た3人を警戒している。母が死んでから、この屋敷の娘として社交場に出ていたのは2人の姉さんでさ。
 ただの召使扱いのドリューにお客なんて今まで1人もいなかったよ。

「あなた達はほんとに誰?」
「旅の者だ。君に聞きたいことがあって来た」

 イヴァンの言葉に、ドリューは首をかしげてみせた。



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