薔薇とアリスと2人の王子


 きょとんとした顔をしてみたドリューだったけど、内心はこうだ。

(この人の身なり、絶対どこかの王子様だわ! 出来るものならモノにしてしまいたい……!)

「ドリュー、だっけ? 君は先日、舞踏会に行ったみたいだね」

 続いてカールの質問だ。
 舞踏会という言葉が特別な響きを持ってドリューの鼓膜を打つ。
 質問に答えようか迷ったけど、ドリューはそ知らぬ素振りで素直に頷いた。

「それは不思議だな。イジメられっ子のお前が、舞踏会に行けるはずはない」
「イジメられっ子って、あんた……!」

 そこまで言ってドリューは慌てて口を閉じた。
 いけない、いけない。危うく怒鳴るところだったよ。

 瞳を輝かせて部屋を見渡していたアリスが、ドリューに目線を移す。

「あなたが魔法の木のおかげで舞踏会へ行けたっていう噂なの。魔法の木って、何かしら?」
「僕たち、魔女を探していてね。手がかりになるかもしれないから、魔法の木とやらを見せてほしいんだ」





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