薔薇とアリスと2人の王子
いいプロポーズとはお世辞にも言えなかったけど、王子の告白はドリューにきちんと伝わったらしい。
きょとんとしていたドリューの瞳が爛々と輝いていく。
淑女の様に行儀良くしていたドリューだったけど、次の瞬間には見惚れるほど男らしいガッツポーズと共に叫んでいた。
「結婚!? 本当に!? つ、ついに王子様ゲットー!っじゃなくて! 嬉しいです、アルフレート王子様!」
「……あれ? ド、ドリューさん……舞踏会の日と様子が違うけど……」
「ふふ、お互い様でしょう」
そう笑ったドリューの笑顔は輝いていた。
思わぬ所で両想いになった2人だけど、当人たちはとても幸せそうだった。
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「結局、ドレスは誰が木に引っかけたんだ」
イヴァンが言う。
あの後すぐに3人はドリューの屋敷を出て、センプリーチェの街をぶらぶらと歩いていた。
「ま、アルフレート王子でしょうね」
これはカール。
「なぜ分かるの?」
「舞踏会の前からドリューが好きだったって言っていたからさ。どうしてもドリューに舞踏会に来て欲しかったんだよ」