薔薇とアリスと2人の王子
3人がなんやかんやと喧嘩しているうちに、ひっそり佇む小屋を見つけた。(童話の定番だって思うけどね。だって本当にひっそりとあったんだ)
カールが真っ先に言った。
「兄さん、あそこに一度泊めてもらいましょう。陽も暮れてきたし」
「冗談じゃない! この俺にあんな汚い小屋で寝ろというのか?」
イヴァンからは絶対嫌だという雰囲気が漂っていた。
王宮育ちの彼にしてみれば、小さな小屋で一晩過ごすなんて考えられないんだ。(カールも王宮育ちなはずなんだけど)
勘弁してくれ、と断固拒否の兄を冷めた瞳で一瞥したカールは、いっそ清清しい笑顔で言い放つ。
「そうですか。じゃあ兄さんは来なくていいですよ。僕とアリスで泊めてもらいますから」
「そうね。せいぜい野宿して獣の餌にでもなるといいわ!」
と、馬鹿にするように鼻で笑うアリスとカール。こんな場面では協力的になる二人だった。