薔薇とアリスと2人の王子
「うわっ、小人だ。君がこの小屋に住んでるの?」
カールが身を乗り出して聞いた。
「は、はい、まぁ」
「僕ら迷子になっちゃって。一晩泊めてもらえないかな?」
小人は真っ黒な髭を擦り、しばらく考えるそぶりをしてから言った。
「でも、この小屋は大所帯ですんで。3人が寝る場所があるかどうか」
その答えにアリスがすっとんきょんな声を出してね。
「大所帯?」
「はい、8人で住んでます」
それに驚いた3人がやはり泊めてもらうのを諦めようかと思ったとき、小人の後ろから声が聞こえた。
今度は幼い少女の声だ。
「ハンス? どうしたのぉ~」
語尾を伸ばし、甘ったるい独特の口調の声。
アリス達は家のなかに視線を移した。