薔薇とアリスと2人の王子

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 一方その頃、ペンドラの国にそびえるバーナー城。
 今や大変な事態になっていてね。王室に威圧感のある女の声が響いていた。

「何だって? シャルロッテが帰ってきただって!?」
「はい。どこぞの国の王子を連れて。お妃様に会いたいと言っておりますが」

 王室ではお妃様(つまり、シャルロッテを殺そうとした母親だよ)と家来がいてさ。
 たった今シャルロッテが城に着いたんだ。その事を家来が報告していたよ。

 お妃様もたいそうな美人だったけど人を刺すような鋭い瞳が高圧的だ。
 報告を受けたお妃様はギリリと下唇を噛む。
 毒林檎を食べさせて首尾よく殺せたと思った娘が生きているなんて。

「私がやった林檎を食べ損ねたのね。のこのこ城に戻ってくるなんて何考えているのかしら」
「それが記憶をなくしているようです」

 それはしめた、とお妃様は思わず笑みが溢れた。
 狙われている事を知らない少女など、いとも簡単に殺せるからさ!

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