クロスロード
夕暮れの密会
部活の活動が終わった学校は、昼間の様子が思い描けないくらい静寂に包まれている。
廊下を歩く足音も辺りが静かなせいか大きく聞こえた。
生徒が殆ど下校した校舎、私は一人ある場所を目指して歩く。
……去年まで使っていた2年生の教室がある、3階。
その突き当たりには普通の教室より一段と大きい教室が設置されている。
いかにも真面目そうな人が集まる……そう、生徒会室。
生徒会に入ってる人は部活に入らなくてもいい、というのがこの学校の決まり。
微かに漏れる光が、まだ活動をしていることを教えてくれる。
いる、かなあ。
絶対に自分からはこんなとこ来ないから、どうしたらいいのか分からない。
そもそも私がここに来たキッカケは
『一緒に帰ってみるとかは?』
と、助言してくれた篠原さんのお陰。
そういえば一緒に登校したことがなければ帰ったこともない。
……婚約のこと隠したいんだから、しょうがないことだけど。
でも今はもう、殆どの人は下校しちゃったし辺りは薄暗いからちょっとくらいいい、よね。
ドアのすぐ傍の壁に寄りかかり彼が出てくるのを待つ。
中から聞こえてくるのは、楽しそうな声。