クロスロード
「もう一度言うけど、寝たいなら勝手に寝れば」
何コレ。さっきと立場が逆転してる。
なんか翠君、今は冷たいんじゃなくて意地悪かも……
それが少しだけ悔しくて、スッと腕を伸ばし彼の首へ巻きつける。
「全然眠くないよ」
そう呟いて薄く笑い、彼の唇へ口付けた。
押されたままじゃ悔しい。キスされっぱなしじゃ悔しい。
女の子として悔しがるポイントが確実にズレていると思う。
『それにお前は、二人の時に豹変してそうだし』
いつだか日高君に言われた言葉。
今なら反論、できないかもしれない。
頭の中で苦笑しながら、首に抱きついている腕の力を強めた。