クロスロード
本当の自分

世間は金曜日。即ち華金。

明日からはゴールデンウィークに入る日。

そして、5月最初の日。


穏やかな季節とようやく慣れてくるであろう新しい学年、環境。

だが、僕等にとってはまた違う意味で特別な日だった。


そのことをすっかり忘れている小さい頃からずっと一緒にいた彼女へ伝えたくて。

生憎学校では言えなかった言葉。


二度目のチャンスは喫茶店。美鈴さん、と一緒にいる時であった。

美鈴さんに了承を取り携帯を開く。

アドレス帳から柚の名前を探し電話をかけた。



『……っはい』



何コールか目で出た柚。

峰さんの家に行くと言っていたけど時間は既に8時をまわっている。

だったら今どこにいるんだろう。


そんなことを考えたりもしたが、タイムリミットはあと4時間。

とにかく用件を伝えようと疑問を頭の隅へ押しやった。



『僕さ、柚に言おうとしてたことあるんだけど』
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