クロスロード
―――……
「本当、さっきは吃驚したわ」
「……すみません」
さわさわと心地良い風が吹く、街外れの小さな公園。
遊具はすべり台とぶらんこしかない。
21時を過ぎた今の時間じゃ子どもの姿も見えないし、公園は公園としての役目を失っていた。
例の電話の後、動揺した僕は伝票を握ってレジへ直行した。
慌てて追いかけてくる美鈴さんに何も言わず、腕を掴んでアテも無く歩き回った。
そんな時、だった。
繁華街を抜けた暗い道で見つけた、この場所。
目を引く何かがあったわけでもないのに引き寄せられるように公園へ入る。
……それで今、二人でベンチに座っているのだ。
何とも言えない奇妙な光景。が、この光景を作り上げたのは紛れもない僕。
わけのわからない行動にとりあえず彼女に謝ってみると、何事もなかったかのように笑顔を見せてくれた。
「碧君ってあんな顔もするのね」
「……そんなに変な顔でした?」
「ふふ」
その笑いは肯定と受け取っていいのかな……
謎の笑みに悩む僕とは裏腹、ミステリアスな雰囲気を漂わす美鈴さん。
ああもう、なんだろコレ。
今日の僕はおかしい気がする。
柚といる時は比較的冷静(部活の時と比べると)なのに。