クロスロード
違う、という意味を込めてぶんぶん首を振ると「何だよー」と残念そうに呟かれた。
翠君はそういうのないと思う……ていうか、あるわけないと信じたい。
日高君の言葉にやつれつつ再び雑誌に目を向けていると、「おい、これ見ろ!」――と、ある部分を指で指した。
「え……と、……『最近は女の子が押し倒す時代ですよね。私の彼はいつも受け身なんですよ』……え?」
「へー、やっぱそうなんだな」
「ええ!?そうなの!?」
何故か納得している日高君。
最近の情報に疎い私は吃驚することしかできない。
お、女の子って強いんだな……
「俺こないだ押し倒されながら顔面殴られたぜ」
……ある意味アブノーマルな発言に苦笑いをするしかできない。
美男美女の日高君と彼女さんってどんな付き合い方してるんだろう。
あの可愛い彼女さんが……なんて想像できないよ。
「け、喧嘩でもしたの?」
「いや、何だっけなアレはー……っと、そうだ!兄貴のAVを俺のと勘違いされたんだよ!」
「……」
「『私がいるのにこんなの見るな!』って言いながら顔面バシバシなわけ。あれはビビッた」
ふう、と溜め息をついているけど……ちょっとだけ笑っているように見えるのは気のせい?