クロスロード
「今コイツのこと見て不健康なヤツって思っただろ?」
くいっと指を例の人に向けられる。
またもや図星……でも本人がいる前で言えるわけない。
そんなことないよ、という意味を込めて笑ってみたけど日高君には通用しなかった。
「お前ってマジ不健康だよなー」
「……それもう聞き飽きたんだけど」
眉間にしわを寄せて嫌そうな顔をする。
それが面白いのか、更なる仕打ちを日高君がかけ始めた。
「そんなんじゃ千里のこと満足させてやれねーんじゃねーの?」
……いきなり出た発言に驚いたのは確か。
だけどそれ以上に驚いたのは、よく知る名前が出てきたから。
「飛鳥……そんなことばっか考えてるから実穂に殴られるんだよ」
「おっ、お前に関係ねーだろ……モヤシのくせに」
「とりあえず戻ってくれない?実穂、今にも教室破壊しそうな勢いだから」
ぐいっと日高君の腕を掴むその人。
教室から出て行く直前、殆ど反射神経で私は彼を呼び止めた。