クロスロード

「おい!いざとなったら目の前で脱げ!」

「……え!?」


な、何言ってるの!?もしかしてさっきの話題!?


混乱する私とは裏腹、彼はまだ何か言い続けていたけど解読不可能な単語が多くて理解できない。

廊下に飛び交う日高君の言葉。

完全に二人の姿が見えなくなった際、雑誌のワンフレーズを思い出した。



『最近は女の子が押し倒す時代ですよね』



……いやいやいや。気にしちゃだめ。



またすぐ洗練されて変に行動して失敗するのがオチなんだから。

雰囲気ってものがあるし。気持ちの問題もあるし。

焦っちゃだめだよね。



そう、必死に言い聞かせていても

ドクドクと加速する脈が、爪先まで身体を支配していく。



まるで呪いのような魅惑の感情。



制御するために噛んだ唇から、微かに鉄の味がした。

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