クロスロード

道を歩いているとたまに小さい子が


「あ、次のとーしゅさまのおよめさんだ」


なんて言われると顔から火が出るほど恥ずかしい。


とは言え、お手伝いさんの情報は素直に嬉しくて。


「……じゃあ、2階で待たせてもらいます」


答えを出すのに10秒もかからなかった。

ニコリと笑うお手伝いさん。

階段の近くまで来た時、「ごゆっくり」と、言って私の傍を去っていく。




肝心の彼はこの上の自室。

ここに来たのはクリスマスイブ以来だから、もう4ヶ月ぶり。

あの時のことはその……思いだすだけで身体が熱くなってしまう。


そういえば押入れの中で告白したんだった……


無我夢中で気持ちを吐きだしていたあの日は、まるで昨日のことのように覚えている。

階段を上がって2階へつき、少し先の豪華な襖。



……ここだ。



勝手に来ちゃって怒られないかな。

そんな不安が過ぎったけど、彼に会いたいという想いが強い。


この前資料室での事があったばかりなのに、懲りないなあ、私は……


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