クロスロード

……やっぱり、これって変なのかな。

普通の高校生同士の恋愛は、もっと一緒にいたり触れたりする、のかな。


『普通』が分からない私は何を基準にしたらいいんだろう。


ショートホーム中にも永遠に廻り続ける疑問。

クラスが解散し、真菜と部活へ向かうために廊下へ出た時も悩み続けている。



「ちょっと柚、まさかさっきのことで落ち込んでるの?」

「落ち込んでるわけじゃないけど……」

「あー、なんかごめんね?別にそれぞれのペースがあるんだからそんな深く考えな――、」



そこまで言いかけた真菜の言葉を遮ったのは


「ほら、ここだってば!あたしの投稿したやつ載ってる!!」


興奮を含んだ女の子の高い声。

なんだろう、と声のした方を見れば教室の中から。

真菜と二人立ち止まってその教室を覗くと、見覚えのある人と目が合った。



「……あっ、南城さん」



ガタッと椅子から立ち上がり薄く笑いながらこっちへ向かってくる、茶色のセミロング。

近くになり顔がはっきりするとようやく誰かが分かった。



「篠原さん!」



そっか。よく見ればここは1組の教室。

二重の瞳を細くして笑う篠原さんは、去年のクリスマスイブに話した時よりずっと大人っぽくなっていた。



あれから廊下で会ったりすれば、こうやって声をかけてくれる篠原さん。

隣にいる真菜に軽く会釈し、再び私に視線を戻す。

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