クロスロード
彼女の存在
憩いの場所など求めていないけど、波瀾万丈のリアルに疲れていないと言ったら嘘になる。
ゴタゴタに巻き込まれるのも自分から突っ込むのも好きじゃない。
が、昨日、あんな現場を見てしまった以上放っておくわけにもいかなくて。
自分から泥沼へ片足を突っ込み始めている。
「おーい、どうしたんだよ」
「どうもこうもないよ。……はあ、男って不明だね」
「は?お前も男じゃん」
デジカメを拭きながら吐きだした思い。
こういう時ばかりイチイチ突っ込んでくるあーちゃんにどっと疲れが押し寄せる。
別に突っ込まなくていいのに……
ていうか、何で今日に限って僕のとこにいるんだろう。
みっちゃんと喧嘩でもしたのかな。そういえば、この前顔面殴られてたもんな。
「あーちゃん、みっちゃんとこ行かないの?」
「それがさー、まだこないだのこと怒ってるみてーなんだよ」
「そう。大変だね」
「本当に思ってんのか?どうせ同情なんだろ?いーけどな別に!!」
まだ何も言ってないのに……
被害妄想が激しすぎる。あーちゃんこんなキャラじゃないと思うんだけど。
キャラ崩壊寸前のあーちゃんは無視し、綺麗に磨きあげたデジカメをケースに片付ける。