クロスロード

真菜にすら聞かれないような質問に、どんな顔をしたらいいのか分からない。

ただただ頬に集まっていく熱が、逃げることを許さない。

だ、誰か助けて。



「……あ、その反応はあるんですね」

「……えっ、あ、その…っ」

「先輩教えて!あたし、経験ないんですよ!どういう風にすればいいんですか!?」



両手を胸の前で絡めてお祈りするような姿勢のりっちゃんに、どう答えていいのか分からない。


だ、だってこんなこと、真菜にも教えたことないの、に……

かああぁっと赤くなる頬を見て、ますますりっちゃんは嬉しそうに笑った。



「最初ってやっぱり痛いんですか?」

「い…?……わ、分かんない……っ」

「んー、じゃあ、先輩は付き合ってどれくらいでそういう展開に?」

「え……」



―――よく、考えれば


私がそうなったのって、想いが通じ合ったその瞬間、だ。


あの夜は婚約前日で、朝が来れば彼が遠くへ行ってしまうと知っていて。

だから……この一瞬だけは私を許してほしくて……



って、お、思い出しただけでも恥ずかしいのに、言葉で説明できるわけないよ!

それにもう、あの時はいっぱいいっぱいだったから……
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