【短編】不器用彼女
「ごめんね。1人じゃ大変だったでしょ?」
そう言って本を何冊か手に取った瞬間。
「別に」
…………。
ふいっと視線を逸らしながら和泉チャンはそう冷たく言い放った。
ありゃりゃ。
「怒ってる?」
顔を覗き込みながら聞くと、
「別に」
ってまた冷たく言われた。
相当怒ってる。
そう察した俺は、苦笑いしながら本を再び手に取った。
すると和泉チャンは口を開いた。
「……これ。あたしじゃ、届かないからやってくれる?」